満身満心の希望■NHK テレビ番組『グレーテルのかまど』で、自由学園の「希望満充」が紹介されます

明日の友129号(2000年冬)掲載

 

●「希望満充」とは

「希望満充」は、自由学園が1934年に目白から東京都東久留米市に移転した後、創立者の羽仁もと子が体調を崩して休養したことがあったのですが、年が明けて回復して学園に出られるようになった時に「満身満心の希望」と生徒に心境を伝えたそのことばを、生徒たちが形に表したいと考えて作ったお菓子です。

 

NHK テレビ番組『グレーテルのかまど』で、自由学園の「希望満充」が紹介されます

お菓子にまつわる物語を作り方と共に紹介しているNHKのテレビ番組『グレーテルのかまど』で、自由学園オリジナルのお菓子「希望満充」が紹介されます。下記の通り放映されますのでぜひご覧ください。

  • 番組名『グレーテルのかまど』
    放映局と放映日時(初放送):NHK Eテレ:2021年11月1日(月)22:00~22:24
    番組サイト:https://www.nhk.jp/p/kamado/ts/VNWVWYKX3Q/
  • 再放送
    2021年11月8日(月)10:25~10:49 Eテレ
    2021年11月10日(水)11:05~11:29 NHK総合1
    2021年11月10日(水・火曜日深夜)01:05~01:29 国際放送(NHKワールド)
    ※NHKプラス(同時放送)あり
    ※NHKオンデマンド(見逃し1週間)あり

 

この「希望満充」が生まれた昭和10年は自由学園男子部が創部された年

自由学園創立者、羽仁吉一・もと子、お二人の心境がそれぞれ『雑司ヶ谷短信 上巻』満身満心の希望・『教育三十年』新教育の春に記されています。

 

雑司ケ谷短信 羽仁吉一

昭和十年 満身満心の希望(56ページ)より 抜粋

 

一、自由学園男子部の事 この四月からいよいよ学園の男子部を創める。これは我々の道楽仕事ではない。学園教育の完成のためである。ほんとうの「教育」は女性にも男性にも妥当するものでなくてはならない。若し自由学園の教育が、女の子だから可能なもの又は適当なものでしかないならば、その教育の価値はいうに足らない。過去十四年間、生命をかけて築きあげた学園教育の真実性を、事実を以て証拠立てんがために、敢て進んでこの至難の道を拓こうとするのだ。困難の多いところには、助けもまた多い。我々ははちきれるような希望を以て、この新しい使命のスタートに立つ。

一、ミセス羽仁回復の事 夏以来病気がちであったミセス羽仁も、今度はほんとうに癒って来たらしい。ある朝、学校の礼拝に出てゆこうとすると、ミセス羽仁が呼びとめていうのに、この事実と言葉を皆に伝えて欲しいと。曰く、

 満身満心の希望

1935年1月

 

羽仁もと子著作集 第18巻 教育三十年
新教育の春(203ページ)より 抜粋

 

 私どもも弱いものですから、教育に対する自由学園の使命の上から、さらに進んで男子部創設の責任を感じながら、ずいぶん臆病であったのです。しかし助けられていろいろな道が開け、工夫と方法がだんだんにはっきりと見出されてくる間に、いつのまにか臆病が勇気にかわり、それこそ満身満心の希望になってしまいました。どうか見どころのある三十人の少年たちと、そのご両親およびご家族とも一緒になって、問いつ問われつ鞭うちつつ鞭うたれつつ、慰めつつ慰められつつ、この心のなかに溢れ出してくる新しい教育の計画を、一日も早く生きてみたいのです。

 

明日の友 129号 2000年 冬 56ページ 掲載