トークイベント「f-tomoカフェ」について

 

読者・筆者・編集部がつながるトークイベント「f-tomoカフェ」。

誌面でおなじみの筆者の方々にそれぞれの専門分野を入り口に、幸せな社会とは、生きる力とは、社会をよくするには、などをお話いただきます。

【f-tomoカフェ レポート】第1回 湯浅 誠さん ⇒

【f-tomoカフェ レポート】第2回 井田典子さん ⇒

【f-tomoカフェ レポート】第3回 海原純子さん ⇒

第8回 2019年3月8日(金)ゲスト:藍原寛子さん(ジャーナリスト)

テーマ「東日本大震災から8年―福島のいま」

場所:自由学園明日館

 

 

第7回 2018年11月8日(木)ゲスト:小島ゆかりさん(歌人・婦人之友「生活歌集」選者)

テーマ「生活の歌・こころのうた」

場所:自由学園明日館 Rm1925

 

歌との出会いを

11月8日、第7回目は、11月号・母娘対談に出席されたばかりの生活歌集選者、小島ゆかりさんをお迎えしました。

 

この日は、短歌に親しんでほしいと、新聞投稿歌など小学生から大人までの歌を紹介して下さいました。
小島さんが音読され、解説されると、三十一文字に込められた思いが立ち上がります。
「歌を通して、その生みの親とのすばらしい出会いがある。それは難しいと思われがちな古典和歌でも同
じで、短歌という形式の宝です」。
古典からは、生誕千三百年の大伴家持「うらうらに照れる春日(はるひ)にひばり上がり心悲しも独(ひと)りし思へば」(『万葉集』)。対象となる出来事や相手がないのに、独りで悲しむのは現代的で、この「孤独の文学」は西行、芭蕉へと受け継がれたとも。

 

 

ご自身の歌からは「母となり祖母となりあそぶ春の日の結んで開いてもうすぐひぐれ」。お孫さんとの一場面ですが、「カメラのレンズをちょっとひくと、時空を超えて人とのつながりを感じる場面。祖母にも母にも孫の立場にもなる歌です」。

「五七五のリズムはどんな人にもあるので、思いついたことで指折ってみましょう。一首つくればもう歌人ですよ」。出席者からは 「一時間半の時空旅行をしたよう」、「歌を作ってみたい」との声が聞かれ、小島さんのお人柄と、短歌の楽しさに魅了されるひと時でした。

 

第6回 2018年10月15日(月)ゲスト:福岡伸一さん(分子生物学者)

テーマ「寄り道の旅」

場所:自由学園明日館ラウンジホール

 

昆虫少年からフェルメールまで
10月15日、第6回目のカフェには、連載「わたしの・すきな・もの」のコレクションを携えた、福岡伸一さん(分子生物学者)をお迎えしました。

 

「ぼくの人生の旅路は寄り道ばかり」と、楽しそうに話し始めた福岡さん。美しい蝶を探したいと思った昆虫少年が、次第に生き物がつくられる過程に興味を持ち、細胞から遺伝子、そしてミクロの世界へと分け入り、たどり着いたのが分子生物学だった、と来し方を語りました。
子ども時代に学習用顕微鏡で、キアゲハの羽根の燐粉を見たときの驚き!スクリーンに、その見事なモザイク模様から、すい臓細胞の消化酵素のわかりやすい図解まで映し出される度に、会場には「うわあ!」「へえ~」「ほお!」と感嘆やため息、時に笑いの渦が。「生命は創られるばかりではない。細胞は少しずつ壊しながら、少しずつ創り続けることで、バランスが保たれている。それが『動的平衡』、生命の本質です」。

 

 

後半は、「フェルメールおたく」の本領発揮で「彼は生涯37作品しか残さなかった。37は素数。それだけで魅かれます」(笑)。行方不明の1点を除き世界に散在する全36点を見て回り、ついにはNYの自宅に全作品の複製(リクリエイト)を展示、展覧会も開催。原画を持つマウリッツ美術館のビデオで紹介されたなど、お話は尽きず、会場からは「第二弾を!」の声がしきりでした。

 

 

第5回 2018年9月3日(月)ゲスト:網中いづるさん(イラストレーター)

テーマ:「婦人之友」ができるまで

場所:自由学園明日館ラウンジホール

 

いつまでも「青く」ありたい
9月3日、第5回目はイラストレーターの網中いづるさん。本誌ページデザイナーのお二人も迎えて、表紙絵がつくられる様子を聞きました。

 

 

毎号、季節感を大切にしながら、風景や物、時には抽象的な表現で表紙に息を吹きこむ網中さん。「個展で作品を描くのとは違い、まずは題(モチーフ)を頂き、考える。次に文字のみ入った表紙を見て描く。“私の作品”ではなく、皆さんと一緒につくりあげていく世界なんですね」と、穏やかに話します。
「発色がよく、水で伸びるタイプのアクリル絵の具で描いています。重ねて描け、表情が出ます。色つけは1日くらい」。例えば「鳥」を描くにも、枝にとまっているのか、飛んでいるのか。1羽か2羽か。色は?足はどんな形……と図鑑を見たり。「ライフスケッチは時間がかかり、いちばん大切なところです。」

 

 

網中さんとは長いお付き合いの本誌デザイナーME&MIRACOの塚田佳奈さん、塙美奈さんは、「表紙になったときにどう完成するか、網中さんはその想像ができてすごい」。あうんの呼吸で進めます。

 

 

感想には、「アパレル業界で働いていた頃の様子など、想像以上のお話を伺えました」「表紙が多くの人の思いでできていると分かりました」などがありました。
網中さんの、ユーモラスあふれるお話に、明るい雰囲気に包まれた会でした。

 

第4回 2018年7月6日(金)ゲスト:松本侑壬子さん(映画評論家)

 

テーマ:映画の時間・わたしの時間

場所:婦人之友社 3Fホール

映画評「cinema―女と男」を連載して15年になる松本侑壬子さんをお迎えした4回目のf-tomoカフェ。

映画評といえば男性の筆者がほとんどだった時代から、女性の視点で話題の映画を取り上げ、映画のおもしろさ、その世界の広がりを伝えて下さっています。

「映画の時間・わたしの時間」と題したお話は、「私が初めて出合った映画は、5歳のとき、生まれ育った鳥取のがらんとした映画館で観た『ターザン』。その迫力に恐くて顔をおおい、指のすき間からのぞいていたんですよ」など尽きないエピソードに、あっという間の1時間半。

「松本さんが“これは見るべき”とお勧めの映画は?」との質問に、「映画は時代を、そして観る人の心を映す鏡。その観方は100人100様。だからおもしろいの」と。
 

雨上がりに参加してくださった皆さんと共にした、参加者からは、「松本さんの(映画に対する)熱い思いをいっぱい感じられて、幸せでした」という感想がたくさん寄せられました。

 

第3回 2018年6月6日(水) ゲスト:海原純子さん

テーマ:“こころの深呼吸”しませんか?
家庭で、職場で、心のモヤモヤやストレスと上手に関わるには――

場所:自由学園明日館 食堂(東京都豊島区西池袋2-31-3) 

撮影/金子睦

「みなさん緊張していませんか?まずは、かんたんなボディワークをしてみましょう」と始まった海原さんのカフェ。参加者みんなで、少し高いところを見て、両手を上に。すると気持ちも上向きになっていくよう。
「ストレスを怖がることはないんです。ためるからよくない。ゴミと同じです。台所のゴミを捨てて、きれいにしてから寝るように、夜、いやな気持ちがあったら、洗ってから休みましょう。3分でいいので、息をゆっくりはいて、すう。はいた息と一緒に、いやなことがぬけていくイメージで」

撮影/金子睦

生きていれば、必ずゴミは出る。傷つくことを恐れなくていい。ゴミが出たら、それをきれいにしていくこと。体を全部使いながら、別のもの見方や、考え方ができるような柔軟な思考回路を、と自らの経験を交えながら語りかけてくださった海原さん。会場から寄せられた悩みにも、あたたかく応えてくださいました。
「とても心地よい時間でした」「言葉一つ一つが心に響き、雨だったのに、ちょっと楽しくなった帰り道でした」の声が寄せられました。

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第2回 2018年5月11日(金) ゲスト:井田典子さん

テーマ:モノと時間と心の整理

場所:自由学園明日館 講堂(東京都豊島区西池袋2-31-3)

当初の定員をあっというまに超えたため、会場を自由学園明日館講堂へ変更して開催しました。
90人のお客様は、メモをとりながら、熱心に井田さんの話に聞き入っていました。
会が終わると「早く自宅の整理を始めたい」という声が早速、聞こえてきました。

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第1回 2018年4月10日(火) ゲスト:湯浅 誠 さん

テーマ:子どもの貧困と、今日から私たちができること~1ミリでも社会をよくするために~

場所:婦人之友社 3Fホール 〒171-0021 東京都豊島区西池袋 2-20-16

『婦人之友』に連載中の「思春期の悩み相談」回答者である、湯浅誠さん。「子どもの貧困」や「こども食堂」についての質問にお答えいただきながら、現在の活動や、どうしたら一歩を踏み出せるかなど、参加した人自身が「自分ごと」として動き出すためのヒントもいただきました。
深刻な話題の中にも、身近な例でわかりやすく、時折ユーモアを交えて話してくださる湯浅さん。マイクを使わずに、張りのあるあたたかな声で語りかけるごとに、会場はグッと引き込まれ、「子どもの貧困解決のために、私たちも何かできるはず」と一体感が生まれていきました。

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