『メスとパレットⅣ』刊行にあたり 第2回

『メスとパレット』の著者 森 武生を師とあおぐ、岩崎 善毅(よしあき) 先生(都立駒込病院胃外科部長)との、世界旅の思い出の3回シリーズの第2回目。

●旅談義 第1回目はこちら⇒
●旅談義 第3回目はこちら⇒

20160425_mespale_taidan01_01

岩崎 善毅 先生(左)と『メスとパレット』著者の森 武生 先生(右)

b2588_obi2016年4月20日発売
ご注文はこちら

 

 

岩崎 : 先生、春の叙勲・瑞宝小綬章おめでとうございます。

 

: どうも、どうも。

 

岩崎 : ところで、海外の学会に引っ張り出してくれたのも先生ですし、おかげで、世界に目が行くようになりました。もちろん勉強はして行くんですが、くわしい歴史はその場に立って、直に先生が教えてくれると、自然、興味が増したものです。この本、『メスとパレット』の旅日記にも、詳しいなあ、と感心するところが、いくつもありますよ。

 

: ところで、ピアノ上達している?

 

岩崎 : ひどいなあ、先生のアドバイスで続けてますよ。でも、気にかけてくれて嬉しいなあ。学生時代は、ピアノで飯を喰おうと思ったくらいだったけど、外科医になって諦めかけた。そのとき森先生から、絶対につづけろ、医学の専門バカになってはいけないと、強く言われまして。

 

: そうだよ、海外の学会が終わった後のパーティーで、向こうの人は、歌やピアノ、バイオリンをプロはだしに出来るわけだよ、日本人もそうならなくちゃ。
東ドイツでの学会後のパーティーで時間があって、スケッチを描いていたら、主催者が見つけて、その絵がみんなの中をぐるぐる回って、会場中が急に、うわっとなってね。

 

20160502_mespale_img02

ラオスらしい風景を見つける。「この川」と叫んだ。手前も向こう岸も川を渡す船着き場。メコン川の支流。

20160502_mespale_img01

何回か来たドイツ・ケルン。聖マーチン教会を中心に。

 

岩崎 : 先生の絵は、海外でも皆が憧れていますよ。その場の空気や音が伝わってくる絵なんです。不思議だなあ。
そういえば、ロスアンゼルス大学の80歳の教授もドラムを叩いているし、僕にも来週は私の家に150人集まるから来いと。日本から来週なんて来られませんよ、と言ったら、毎年呼んでくれる。ジャズピアノとドラムで、気持が通じあった。医学の専門バカになってはいけないという先生のアドバイス、感謝してます。

 

: 仕事は出来て当たり前。誰にでも何かはあるさ、好きで続けられるものが。

 

岩崎 : たまたま、僕はピアノが、外科医にプラスに働いたんですね。

 

: かなりね。学生時代に何かするにしても、お遊びじゃだめだよ。本気になってやらないと、だめだね。医学以外に続けられるものがあると、人間に幅が出来て、人生も豊かになるし、医学にフィードバックして、いい医者になる。医師としての内容を豊かにするものがあれば、いい医者になれるよ。

 

(つづく)

 

旅談義 第1回⇒ 旅談義 第2回⇒ 旅談義 第3回⇒