「お金って不公平だと思いませんか?」後編・ 家庭内にあるお金の不公平感

 

家計簿、節約、貯金、給与……。

私たちが「家計管理をしなくっちゃ」と、考えたとき、思い浮かぶことは人それぞれです。

このシリーズでは、【お金】について「私はこう考える」という、人生の軸となるものをききながら、読み手が自分の考えを整理できるよう、登場する方に質問を投げかけていきます。

 

 聞き手:婦人之友社

 



今回の質問

「お金って不公平だと思いませんか?」後編

 ーー家庭内にあるお金の不公平感ーー

 

<前後編で2回のお届けになります・前編はこちら

 

ーー 前編で「お金って不公平だと思いませんか?」ということからうかがってきたのですが、もう一つ家計において「家庭内にあるお金の不公平感が、家族関係を複雑にしてしまっている」ということも聞きます。その点はどうですか?

 

山﨑 ああ‥ 時代の変化もあると思うけれど勤労収入の「夫婦格差」や、教育費において「兄弟」への金額のちがいに悩む人を私もたくさん知っています。「女性に自分の収入を知られたくない」と思う男性もいますし、仕事を持たない女性が「金銭面で男性に頼っているので、常に夫の顔色を見ながら生活してしまう」という方もいます。

 

ーー そのあたりはどうしたらいいのでしょうか。

 

山﨑 結論からいえば「話し合うしかない」ということなのですが、それができないんですよね。子どものことであっても、教育費を出しているのは親なので、それは親の責任として、わが家はどういう考えかというところを確認し合う。

 

ーー わかりあえるものですか?

 

山﨑 お金の価値観の相違が大きいとその後、家庭内の問題はおきやすくなるので、すれちがいは小さいうちになんとかした方がいいというのが私の考えです。基本的には別人格のふたりが家庭を築くのでそもそもちがって当然。そういう気持ちで向き合って、その家庭のスタイルをつくっていくことだと思います。

 

ーー うまく話しあえるか心配です……。

 

山﨑 趣味嗜好がちがうことって結婚後に気づくことも多いでしょ? 「プラモデルが好き」「車にお金をかけたい」「アンティーク家具が好き」「好きなアイドルの追っかけをしたい」。ぜんぶはかなえられないけれど、自分を否定せず、相手を否定せず、どこは実現できそうでどこはできないか。それこそ家計の数字はそのヒントを教えてくれますよ。家庭内不和どころか、家庭内のありがたい緩衝材。

 


現在、山﨑さんが愛用している家計簿は「kakei+(カケイプラス )

 

 

ーー ちがって当然と思って向き合えば、少しずつ調整できるかもしれないですね。山﨑さんの結婚当初の生活はどんなものでしたか?

 

山﨑 それはそれは「つましい」のひとこと! 学生結婚だったので卒業するまで、夫の実家からの仕送り5万円と家庭教師のアルバイト5千円が収入のすべて。もちろん貯金もゼロ。住んでいたのは4畳半と6畳の2間で家賃の15,000円を払えば残りは食費、銭湯代、交通費に消えていきました。

 あるとき、プロパンガスがなくなって急いでガスボンベのとり換えを頼みに行ったのですが、ボンベ1本800円のガス代が払えず、「明日は必ず払いますから」とガス代の代わりに、私の自動車の運転免許証を置いてきたこともありました。

 

ーー 先々の不安や絶望は感じていなかったのですか?

 

山﨑 若いってことね(笑)。洋服ダンスも食器棚もなかったけれど、どうにかなるとそのときは思えていたの。ところが夫が無事卒業し、ほっとする間もなく3カ月の間に転職に次ぐ転職。夫自身が給与のことで納得できなくて退職したりと波乱続きでした。

 

ーー その状況も冷静に受け止められたのですか?

 

山﨑 いえいえ。私も腹を立ててもうやっていられないと家出しましたよ(笑)。結局は話し合いの末、家に帰ったのですが「お金」ってそうやって家庭内に嵐を巻き起こすことがあるんですよね。ようやく新聞広告で見つけた会社に採用され、転勤をしながら定年まで勤めました。

 家計簿をつけはじめたのは、地方の支店に配属されて長女が生まれ、近所づきあいをするようになったころ。『羽仁もと子案家計簿』をつけている人と出会ったのです。それまでは銀行でもらった家計のノートのようなものに記録していたので、予算を決めて生活することに驚きました。当時は小さい家計で「お金がもう少しあったらいいな、そうしたらおかずがもう1品できるのに」という日々でした。

 

ーー お金ってずっとついてまわりますね。

 

山﨑 そう。だからどんな風にお金とつきあっていくかがだいじなんですよね。

 そして、生活の中にお金というモノサシがあるから、先々に夢や希望が持てたりそれに向き合うためのプロセスが描けるようになっていくんですよね。だからわが家のお金の基準をもつために、お金と向き合うことは不安から抜け出すいちばんの近道だと思っています。

 

ーー いちばんの近道なんですね。

 

山﨑 人によって、どれだけ財産があれば心理的に安心するかという金額もちがうんですよ。だからこそ、「自分で向き合ってみる」。落ち込むこともあるけど、何か自分の感情に変化が出たら、それは前に進んでいる証拠です。いずれにしても「お金の不公平さ」を感じたら、どう「公平」だと受けとめられるようになれるかを考えてみる。

 気持ちの持ち方、そしてお金の整理整頓。今日からはじめるのがいちばんいいのですが、「明日」でもいい。でも、明日からはお金の「見える化」の一歩を踏み出してくださいね。

 

 

 

ヤマサキミツエ
相模友の会会員。家計簿歴45年余。長女の出産から40年余、友の会で整理、収納、そうじの技術を磨き20年ほど前から自宅のオープンハウスをはじめる。講演、TV、雑誌でも人気、2LDKのマンションで夫とふたり暮らし。著書『帰りたくなる家』(小社刊)は世代を問わず人気の1冊。

 

 


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