阿部絢子さん流  今の暮らしを自分流に楽しみつくす、もの選びのコツ

 

シンプルで自分らしく、心地よい暮らし方を提案する、生活研究家の阿部絢子さん。
日々を楽しく好奇心いっぱいに過ごす阿部さんに、自分の生活にぴったりの道具を見つけるヒントを伺いました。

 

【プロフィール】

生活研究家、消費生活アドバイザー・阿部絢子

あべ あやこ:薬剤師の資格を持ち、科学的な根拠をもとに、合理的かつ環境に配慮した生活全般にわたる提案を行う。世界各国の家庭にホームステイをし、その国の暮らし・家事・環境などを研究することもライフワーク。『わたし時間を取り戻す 暮らしの技術』(だいわ文庫)など、著書多数。

 

 

毎日は小さな冒険の積み重ね
「本当にやりたいこと」のための仕組みを

 

それぞれの部屋の隅やドアには、その場で使いやすいブラシが。

 
78歳で現役の薬剤師として働く阿部さん。

 

「宵っ張りの朝寝坊で、薬局の仕事は夜勤中心。でも体が資本ですから、毎日8時間以上は寝て、できる時には昼寝もします。帰宅後の一杯が楽しみで、スーパーで季節の食材を見つけては、その日の思いつきでつまみをパッとつくる。そういうことの一つひとつがおもしろいんです」

 
そう語る阿部さんの暮らす家には、あちこちにブラシが。国内外でみつけた大小さまざまなブラシやちりとりは、天然素材を基調として、落ち着いた色合いのものばかり。「常に出しておいてもいいデザイン」であることも、選ぶ基準のひとつです。

 

暮らしは、自分自身のもの。自分なりのルールで割り切って考えていいんです、と阿部さん。掃除は完璧を目指さず、気になることを解消することが目的。多少のホコリには目をつぶり、各部屋のドアなどに、そこに適したブラシ類をかけておくことで、気づいたときにさっと埃をはらって、時間を短縮しています。

 
そして、その分「やりたいこと」に時間を割きたい。自分の望む暮らしの姿勢に添う、仕組みを考えることが大切、と教えてくださいました。

 

明るい色のじゅうたんは、ホコリが目立ちにくい。

 

 

「わたしの暮らし」に合うものを、
おもしろがって、探す

 

何でもやってみることがモットーという阿部さん。だからこそ、失敗も多いそう。

 
「でもね、やらなきゃわからないことってたくさんあるじゃないですか。失敗や悩み、不便や不満がある時は、逃げずに原因をつきとめればいい。そうすればおのずと解決策が見出せますから。嫌なことがあっても、今日の目標をひとつだけ決めて、できたらよしとする。未知との出合いを前向きに楽しみます」

 

心配は、何かが起きたその時にすればいい、とは、師である家事評論家の吉沢久子さんの教え、と阿部さん。道具選びにも、この精神が大いに反映されています。

 

●“ちょうどいい”は試して探す

中華鍋の焦げつきを落とす「ささら」。

素材も硬さも様々な種類を実際に使って試し、本当に使いやすい1本にめぐりあえました。

 

(写真右)これまでに試したささらたち。一番左は野菜用ブラシ。
(写真左)選ばれた一本は「しゅろのささら」(右写真の左から2番目)

 

●出しっぱなしでいいデザイン

毎日欠かさず使う土瓶と蒸籠は、しまい込まずコンロの上が定位置。

汚れが目立たず、出しっぱなしでもストレスにならないようなデザインのものを選ぶのがポイントです。

 

萬古焼きの土瓶(竹政製陶)は友人に紹介してもらった。

  

●ものとの付き合い方は自分なりのルールで

器好きで来客も多く、増えがちな食器は、取り出しやすさを優先して棚に収まる量に。
一方、コースターと箸はがまんせずに収集する、と決めています。

 

大好きな器は、小さな食器棚ひとつに収まっている。

 

 

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2024年1月発売の「暮らしのお助け道具と知恵130」ではさらに、年齢を重ねても生き生きと暮らす心の在り方のヒント、また、家事をなるべくラクにシンプルに、と考えられた掃除の仕組みなども紹介しています。ぜひご覧ください。

 

「おもしろがる心があると、めぐり合える」(写真=米谷淳/文=秋山香織)

 

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