本川達雄さんに聞く――ゾウとネズミとナマコとヒトの“時間”

 

時間とは、常に一定なもの――。

でも生物学の視点で見ると、その見方は変わってきます。

『ゾウの時間 ネズミの時間』の著者・本川達雄さんに伺いました。

 

【プロフィール】

生物学者・本川達雄

もとかわ たつお:1948年生。東京大学理学部生物学科卒業。琉球大学助教授、米・デューク大学客員助教授、東京工業大学大学院生命理工学研究科教授を歴任。東京工業大学名誉教授。理学博士。専攻は動物生理学。著書に『ゾウの時間 ネズミの時間』『 生きものとは何か』ほか多数。

 

 

頭を使う日々だから、”体の時間”は欠かせない

 

生物学者の本川達雄さんの大切な15分は、「体のための時間」。

研究や思索に没頭し、頭を使う時間が多いからこそ、合間に15分程度行う筋トレは欠かせないと言います。

 

「楽しみなのはご飯の時間。腹7分目にするから、もう次のご飯が待ち遠しい。これもまた、体のための時間です。

いろんな時間があることが、人生を豊かにする。考えてばかりじゃダメなんです」

 

 

ナマコとウチナー時間に導かれて

 

沖縄・瀬底島の海。美しいサンゴ礁の合間をスズメダイが泳ぐ。本川さんのナマコと時間の研究は、この海からはじまった。(撮影=空 良太郎)

 

大きなゾウと小さなネズミ、このふたつの生物に流れる「時間」ははたして同じなのだろうか――。

“サイズの生物学”をわかりやすく世に紹介した名著『ゾウの時間 ネズミの時間』の著者である本川さんの専門は、ウニやヒトデなどの棘皮動物。

”時間”に興味を持ったきっかけは、講師として滞在していた沖縄の海のことだった、と語ります。

 

教えてくれたのは、なんとナマコ!

あまりにも動かない彼らと、30分もじっとしていられない人間。

それぞれに流れる時間は、果たして同じなのだろうか、という疑問から探求はスタートしました。

 

 

サイズが違えば時間の流れ方も違う

 

 

「“サイズの動物学”が教えてくれたのは、大きなゾウも小さなネズミも、私たち人間も哺乳類ならばみんな大体、心臓が約15億回打って、エネルギーを約30億ジュール使うと寿命を迎える、ということ(ただし15億回はとてもアバウトな数字)」と本川さん。

生き物の寿命は違えど、実は一生のうちに行う仕事量は同じなのです。

 

もう一つ教えてくれるのは、「エネルギーをたくさん使えば使うほど、その生き物の時間が早くなる」ということ。

小さなネズミはものすごい勢いでエネルギーを使い、濃密な一生を終える。大きなゾウは、ゆっくりエネルギーを代謝しながらじっくりと生きていく。

生きていく時間は、その生き方で異なるのです。

 

それでは私たちヒトはどうでしょうか。

この100年で、人間ひとりが一生の間に使うエネルギーは爆発的に増加しました。

寿命を飛躍的に伸ばし、暗い夜も寒い冬も活動できる環境を手にして、物事を「早く」終えるための機械を開発。でも、それは何のためなのでしょう。

 

私たち生き物の本来の「目的」とは何か。時間とは何のために使うものか。

――続きは本編にて。生物学者・本川さんのお話を、ぜひお読みください!

 

 

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「「わたし」を繋げて生きていく(撮影=片柳沙織)

 

 

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