高知に移住した服部さん一家の、持続可能なモノの選び方とは?

高知のご自宅にて、服部麻子さんと服部雄一郎さん。

 

「環境に、より負荷の少ない生活を」

そんな思いで高知に移住した服部さん夫妻。

持続可能な生活を目指すふたりの、ものの選び方や工夫を聞きました。

 

【プロフィール】

服部雄一郎/服部麻子

はっとり ゆういちろう/はっとり あさこ:

葉山、アメリカ、インドを経て、2014年、3人の子どもたちと高知県に移住。夫婦の共著『サステイナブルに暮らしたい』『サステイナブルに家を建てる』や雄一郎さんの翻訳書が注目される。ふたりで講演活動も。

 

 

庭仕事をする麻子さん。家は、生き方を試す実験場。

 

 

いいと思ったら、試してみる

 

 皆さんはものを選ぶ際、「いつかゴミになる時」について考えることは

ありますか?

『ゼロ・ウェイスト・ホーム』『プラスチック・フリー生活』など、環境をテーマにした話題の本の翻訳を手がける服部雄一郎さんと、日々実践する持続可能な暮らしが注目される麻子さん。

 

 ふたりは高知に住み始めてから、カフェや野菜の通販、web発信など、さまざまな仕事に挑戦し、組み合わせながら家族の営みを創ってきました。翻訳の仕事は、雄一郎さんが20代の頃に夢見ていたこと。最初の『ゼロ・ウェイスト・ホーム』は、葉山でのゴミ担当の仕事経験から選んだそうです。

 

雄一郎さんの翻訳書から得た知識が、暮らしの新たな足がかりに。その実践の模様を、夫婦の共著として出版。

 

「その後、『ギフトエコノミー』や『プラスチックフリー生活』などを訳すうちに、“ゴミを減らせばいいだけではないのかも”と思い、プラスチック以外の分野にまで視野が広がりました。

 

 その中からこれはよさそうということがあれば、試してみる。ものの見方、関わり方、扱い方、行動などをちょっとずらすだけでも、環境にとっていい方向に、暮らしを変えられるのです」と雄一郎さん。

 ゴミが減るという結果以上に、暮らしの変化を楽しむ、ふたりの姿勢が印象的です。

 

 

“生かせない”ものは増やさない

 

「例えば、ものを贈り合う、という習慣について考えてみます。

 母の日や父の日、誕生日などに、ものを贈ることは多いですが、望むものではなかったり、捨てるに捨てられず心の負担になったり。その結果、もの自体が生かされないことは、人や社会、環境にとってもよくないなと感じます。

 そこでわが家では、できるだけものではなく“体験を贈る”ようにしています。『映画鑑賞報奨金』は映画好きの私の母が、家族で映画館に行って映画を観る経験を、ということで贈ってくれるようになりました」と麻子さん。

 

麻子さんの母から家族へのプレゼント、「映画鑑賞奨励金」が入った封筒。毎年3万円分の“体験のギフト”。

 

 また、ピザ屋に行きたがっていた娘を、お誕生日プレゼントとして祖父母が連れて行ってくれたことも。

「本当に欲しいものがあればそれでいいと思うのですが、手書きのカードを渡したり、一緒に食事をして過ごすこともいいかもしれません。

 

 贈りものについても、人との間柄のやりとりという視点だけではなく、環境や増えがちなものという角度からも考え直してみてはどうでしょう? 本来の意味から遠ざかっているかも……、そう感じたら、どこかで贈り合いはやめて、“今年はものではない贈りものを”と提案してみるのもいいかもしれません」

 

 

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2024年1月発売の「暮らしのお助け道具と知恵130」では、さらに服部さん夫妻の移住までの経緯や、「生かせるモノを選んで使う、暮しの工夫」について紹介しています。ぜひお手に取ってご覧ください。

 

「暮らしの変化を楽しみながら」(写真=永田智恵)

 

 

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